派遣から正社員になることは難しいのか?非正規雇用と正社員の待遇の差は?

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読んで欲しい人

派遣・契約社員・フリーター・パートタイムの形式で働いている方で正社員になりたいという方にこの記事を読んで欲しいです。この記事を読むと正社員になることよりも、正社員になってからの方が注意事項が多いことが分かると思います。長期的にキャリアを形成する際の対策を共有してみなさんの不安を解消できれば幸いです。

今回のテーマは、

派遣から正社員になることは難しいのか?就業形態と正社員の罠とは。

です。

派遣・契約社員・フリーター・パートタイムの形式で働いている方の中には、

正社員として働きたいと考えている方も多いはずです。

そこで今回は派遣などの様々な就業形態から正社員になることは難しいことなのか、

研究を用いて検証していきたいと思います。

正社員になれるかなれないかという課題に対して、

予想とは違った結果が研究では提示されていますので、

ぜひ最後までおつきあいいただければ幸いです。

では早速始めましょう!

目次

結論

いきなりですが研究の結論を最初にまとめますね。

結論
  • 派遣・契約社員・フリーター・パートタイムから正社員になることは難しくない
  • もともと正社員だった人に比べて、派遣・契約社員・フリーター・パートタイムから正社員になった人の待遇は悪い

これは意外な結論ではないでしょうか?

特に派遣から正社員になることは難しくないという点が意外ですよね。

しかし、もともと正社員だった方と比べると待遇が悪くなってしまうのは気になるポイントです。

なぜ待遇が悪くなるのか、待遇が悪くなるのを防ぐ方法はあるのか、

という点に注目しながら進めていきましょう!

研究の紹介

今回取り上げる研究は西村孝史先生によって

2008年に日本労働研究雑誌から発行された、

「就業形態の多様化と企業内労働市場の変容 – 「ワーキングパーソン調査 2006」 の再分析」です。

西村孝史先生の経歴は2020年時点で

東京都立大学経営学研究科准教授となっています。

経営学のプロフェッショナルであり、人材マネジメント等を専門にされている方です。

西村先生のテーマは非常に興味深いもので、

例えば初任配置と人事部の役割といったテーマもあります。

気になる方も多いと思いますので、

今後の転職マネジメントで発信していけたらと思います。

雇用環境の変化

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バブル経済の崩壊後、不景気の煽りを受けて

日本企業の中には正社員を減らして、

派遣社員や契約社員、パートタイムの雇用形態を増加してきました。

しかし近年では景気も回復してきた(コロナ前)こともあり、

社員を正社員で雇用する割合も多くなってきています。

これは従来の雇用形態であれば正社員ではない方が正社員になるので、

正社員の多様性を生むことになります。

この場合、正社員が多様性を持つことはどんな意味を持つのでしょうか?

正社員になったとしても従来の正社員とは違った形式の雇用体系の可能性も

ありますよね。

研究を詳しく見て雇用体系について解説していきます。

研究手法

研究ではリクルートワークス研究所が実施するワーキングパーソン調査2006を使用しています。

分析手法としてはキャリアツリー法を採用しています。

キャリアツリー方は時間の経過に伴った昇進パターンを観察する方法として活用されています。

従来のキャリアツリー方は企業内の昇進パターンを観察するものでしたが、

今回紹介する研究ではキャリアツリーを企業間の就業形態の移動パターンを観察することに活用している点が注目ポイントになります。

筆者は今回の手法をキャリアツリーと区別してキャリアパターンと名付けています。

それではキャリアパターンについて解説していきます。

キャリアパターン

キャリアパターンのポイントは大きく分けて2つあります。

派遣社員・契約社員などの雇用形態から正社員になれるのか?

正社員の待遇に多様性はあるのか?

まず「派遣社員・契約社員などの雇用形態から正社員になれるのか?」についての結果です。

  • 最初に就職した時の雇用形態が非正規従業員を選択しても、その後の転職によって正社員になるルートが多くなる

働き方が多様な現在でも、最終的には正社員に落ち着く人が多いとのことです。

データとして示されている例ですと、

初めての就職がサービス業でフリーターという雇用形態の場合は、

次の雇用形態が47.6%で正社員になるとのことでした。

つまりどのような雇用形態であっても最終的に正社員になれる場合は少なくないといえます。

次に「正社員の待遇に多様性はあるのか?」について解説します。

多様性に影響を与える要因としては個人の属性によるものと、キャリアパスによるものがあります。

個人の属性の構成要素をさらに分解すると学歴と性別が構成要素になります。

学歴と性別による年収の影響は次の通りです。

学歴

  • 大卒・大学院卒の年収は他の学歴の年収と比較して高い
  • 中卒・高卒・短大・専門・高専卒との年収差は少ない

性別

  • 男性は女性と比較して年収が高い
  • 女性の中では子供がいない人の方が年収は高い

次にキャリアパスの要因による年収への影響について説明します。

  • 移動回数が増えると正社員でも年収は減る
  • 出産・育児のタイミングで、無職よりも休職であると年収が2倍高い
  • フリーター上がりの正社員よりも生え抜き正社員の方が年収が高い

特にキャリアパスの3点目から読み取れることは、

派遣や契約社員経験者の正社員の方は、

生え抜き正社員の方とは違う待遇になる可能性があることを示しています

企業内の雇用形態階層

以上の分析結果から、学歴・性別・雇用形態という要因によって、

正社員に今後なりにくくなることはない」ことが判明しました。

しかし正社員といっても、

正社員の中にも多様な階層があることが研究によって示唆されています。

従来の雇用形態では正社員という雇用形態は一つの固定化された雇用形態でした。

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正社員は企業で最も待遇の良い雇用形態として扱われており、

派遣・契約・フリーター・パートといった非正規雇用との待遇の差は大きかったです。

しかし研究結果によると、

固定化された正社員という雇用形態が幅広く変化する雇用形態になっていることが明らかになりました

現在の企業は正社員の定義を広げることで、

非正規雇用から正規雇用への変更を簡単にさせています。

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ではなぜ企業は非正規雇用の方を正規雇用に変更するのでしょうか?

筆者は主にその理由として次のようなものを挙げています。

  • 情報管理の観点から非正規雇用であると管理がしづらいため
  • 採用の観点のため
    • 他社が正規雇用の割合を増やしているので、非正規雇用の採用形式では人材を採用できないため。
  • 企業と従業員の関係性の変化のため
    • 企業側の正社員にすることのメリット
      • 従業員をモニタリングすることができる。
      • 賃金の多様性の確保することができる。
      • 人材選抜の可能性向上を図ることができる。
    • 従業員側の正社員であることのメリット
      • 生活の安定性を確保することができる。
      • 正社員になることで転職がしやすくなる。
      • ジョブマッチングが高まり能力を発揮することができる。

以上が非正規雇用の方を正規雇用する理由となります。

従来の雇用の考え方とは異なり、

雇用と業務を繋げた方が競争力は高まるという考えのもとで、

従業員に正社員として長く勤務して欲しいという企業側の誘因が大きいです。

では新しく派遣などから正社員になった方が長期的にキャリア形成をしていく際には、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか?

多層化された雇用形態を生き抜くヒント

多層化された雇用形態を生き抜くには、

自分に求められている仕事で成果を出すことが必要です。

しごく当たり前のことではありますが、求められている仕事とは何でしょうか?

求められる仕事は雇用形態によって異なってきます。

生え抜き正社員に求められる仕事(能力)と

非正規雇用から正社員になった場合に求められる仕事(能力)は、

違うということです。

求められる仕事(能力)の違いを端的にまとめると、

生え抜き正社員の場合は管理系の仕事など

幅広い仕事に対応することが求められる傾向がある一方で、

非正規雇用から正社員になった場合は、

特定の仕事に特化する傾向が多いと言えます。

つまり

生え抜き正社員はジェネラリストとして

非正規雇用から正社員になった場合はスペシャリストとして

キャリアを成長させる必要があると考えられます。

スペシャリストとしてキャリアを成長させる場合に起こりうる障壁は

仕事の性質で専門性を高めることに限界があることです。

その場合は自分の専門性を上手くずらしながら関連領域の仕事にも

関与すると良いでしょう。

社内で専門性を高める余地がなくなった場合は、他社に転職する方法もあります。

専門性をずらして転職する方法はかなり難易度が高いので、

転職エージェントなどに相談すると良いのかもしれません。

【リクルートエージェント】

総じて正社員になれたとしても、正社員になったとしても

待遇を向上していくためには更なる努力が必要であることが判明しました。

まとめ

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本記事では「派遣から正社員になることは難しいのか?就業形態と正社員の罠とは」をテーマにして研究内容を解説しました。

結論
  • 派遣・契約社員・フリーター・パートタイムから正社員になることは難しくない
  • もともと正社員だった人に比べて、派遣・契約社員・フリーター・パートタイムから正社員になった人の待遇は悪い
対策方法
  • 生え抜き正社員はジェネラリストとしてキャリアを成長させる
  • 非正規雇用から正社員になった場合はスペシャリストとしてキャリアを成長させる

キャリアを成長させる方法はとても複雑で難しいので、

お困りの方は転職マネジメントなどの転職サービス会社に相談することも良いと思います。

以上で今回の記事は終了となります。

転職マネジメントでは今後も転職・キャリア形成に関する情報を発信していきますのでぜひチェックしてください!

参考文献

西村孝史(2008)「就業形態の多様化と企業内労働市場の変容」日本労働研究雑誌リンク