看護師さんの転職のお悩みを分析する。理想と現実とのギャップとは?

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みなさんこんにちは!

今回のテーマは

「看護師さんの転職のお悩みを分析する。理想と現実とのギャップとは?」

です。

転職を考えているけれども、思い描く理想と現実とのギャップが怖いなと感じる人は多いはずです。

転職してからこんなはずではなかったと思いたくないですよね。

取り上げる研究では中堅看護師さんに着目して理想と現実とのギャップを分析しています。

研究の内容を理解することで以下のことが可能になるかと思われます。

  • ギャップに対する心構えができる
  • ギャップを予防する手段をとることができる

研究は看護師さんを取り上げているので看護師のみなさんには是非チェックして欲しいですが、

その他の職業の方も参考になるはずですので、是非ご覧ください。

では、早速はじめましょう!

目次

研究紹介

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今回取り上げる研究は2011年に日本看護管理学会誌から

伊東美奈子さんにより執筆された、

中堅看護師が転職前に行う予測と転職後に遭遇する現実との相違の構造

になります。

論文は経営学系とは違い医学系の日本看護管理学会誌から発表されていますが、

論文の中身を確認しますと研究手法も経営学と近い内容になっています。

特に看護師さんを対象にした実際のヒアリング結果はとてもリアルな描写をしているので、

臨場感があって非常に面白いですよ!

前提知識

転職を経営学的に言うと、組織参入という言葉になります。

組織参入とは文字通り新しい組織の一因になるということです。

転職(組織参入)には2つの難しさがあることが分かっています。

現実ショックと幻滅です

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現実ショックとは、働く前のイメージと職についた後の現実が引き起こすショックのことです。

この現実ショックが幻滅を引き起こす原因になります。

幻滅度合いと転職の割合は関連していると言われており、幻滅度合いが大きいと転職する可能性も大きくなります。

幻滅度合いは適合期待・不適合期待としても説明されており、

予想していた現実と、実際の現実の一致・不一致の度合いとも言えます。

つまり理想と現実とのギャップが許容範囲を超えると幻滅してしまい、

最悪の場合には退職する恐れがあるとのことです。

学生時代の就職活動では、

仕事に対しての憧れや幻想も相まって仕事に対する理想像が高くなってしまい、

理想と現実とのギャップが大きくなりがちです。

転職活動をしているみなさんは社会人経験が既にあるので、

仕事に対する幻想を思い描くことはなく、

現実的な仕事を見る目を持っていると思うかもしれません。

しかし今回の研究では経験を積んでいる中堅看護師さんの方々が転職する際に

理想を思い描きすぎることは危険だと分かっていながらも、

転職前の理想と転職後の現実との間でギャップが存在してしまっていることが分かりました。

なぜ理想と現実とのギャップが生まれるのでしょうか?

転職活動における意識決定の構造を見ながらギャップが生まれる原因を探りましょう!

研究の面白ポイント

研究の面白ポイントとしては、

看護師さんに直接ヒアリング調査をした結果を踏まえた分析をしているので、

リアリティがあるところです。

看護師さんは共感するところが多いと思います。

例えばやりたい看護というケースだと、

“やっぱりやりたい看護っていうところが一番明確に見つかったのが、思い切って(他の病院に)行こうかなっていうきっかけになった”

という生の声が研究で紹介されています。

気になる方は、研究のリンクを文末に貼っているので是非確認してくださいね!

研究結果

転職活動においての意思決定構造を

検討→イメージ→現実

という3段構造であると定義します。

まずは検討段階から見ていきましょう。

一つ目の要因は転職の理由です。

転職の理由には4つのポイントはあります。

  • 希望業務
  • 学習意欲
  • 外の環境
  • 役職避難

希望業務について説明します。

看護師さんの中にはもっとよりよい医療やケアが提供できるのではないのか、

という問題意識を持ち、ホントのケアを目指してやりたい看護をするために

転職するというケースが見られています。

希望する業務を行いたいがゆえに転職したいというケースですね。

次に学習意欲について説明します。

やりたい看護を経験してみたいという気持ちが強くなり、

実践を通じて学びたいという気持ちの変化は学習意欲という項目に現れてきます。

次は外の環境について説明します。

同じ病院で勤めていると視野が狭くなっていると感じ、

働き慣れている環境にずっといることが自分にとって良いことなのだろうかと疑問に思い、

外の環境に出てみたいというニーズが生まれるのである。

次に役職避難について説明します。

看護師世界での特徴なのか、中堅というポジションを嫌う人もいるらしいです。

主任などの役職の思い地位になると自由が効かなくなるというところでしょうか。

中堅というポジションをリセットするために転職を考える人もいるのだそうです。

以上が転職理由の要因でした。

次は転職先の吟味の項目について説明します。

転職先の吟味には以下の項目があります。

  • 配属の確実さ
  • 教育制度
  • 雰囲気
  • 規模の大きさ

まずは配属の確実さについて説明します。

やりたい看護をするには希望する領域に配属されなければ意味がないですよね。

転職をする前提として希望する科への配属ができることを前提に形成されていました。

次に教育制度について説明します。

中堅でもまだまだ伸びしろがあると感じ、O J Tだけではなく、

知識面も強化したいという考えから教育制度が整備されていることも

病院選びの選択基準になっています。

次に雰囲気について説明します。

やりたい業務ができることや雰囲気といった観点も大事ではありますが、

感覚的な印象や雰囲気といった観点も重要視されています。

雰囲気が悪いところには転職したくないですよね。

次に規模の大きさです。

病院のクオリティを測る一つの基準として病院の規模の大きさを挙げている方も多いようです。

確かに規模が大きい企業・病院だと制度がしっかり整っている印象がありますよね。

以上が転職先の吟味でした。

さて次は検討フェーズの最後である期待の抑制について説明します。

期待の抑制では以下の項目があります。

  • 新卒とは違う
  • 期待無用

まずは新卒とは違うことについて説明します。

新卒とは違うとは、新卒時に抱いたような漠然とした憧れや期待とは違い、

特別な期待感を持たないようにしたということです。

仕事を経験して現実的になったというところでしょうか。

期待無用とは、どれだけ調べても転職先のことに関する情報は限られているので、

不必要で非現実的な期待を持たないようにするという姿勢です。

以上が期待の抑制です。

検討フェーズ段階における転職の理由・転職先の吟味・期待の抑制について説明しました。

次はイメージ段階について説明します。

イメージ段階では転職への期待や肯定的なイメージと転職後に起こりうることに対する懸念があります。

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まずは転職への期待や肯定的なイメージについて見ていきましょう!

転職への期待や肯定的なイメージには以下のポイントがあります。

  • 未経験技術習得の期待
  • 教育体制への期待
  • プロフェッショナリズムへの期待

まずは未経験技術習得の期待について説明します。

未経験技術習得の期待では、

実践を通じて新たな看護技術を吸収したいという気持ちが現れた項目です。

ただ未知の領域であるために、何が行われているのかわからないまま期待が形成されている側面もあります。

次に教育体制への期待について説明します。

これは検討段階の転職先の吟味にかぶるとことがありますが、

改めて院内教育プログラムの充実さに期待を寄せていることが分かります。

次にプロフェッショナリズムへの期待について説明します。

転職によって専門性の高い病院に就職し、

そこで得られる専門性の高さに期待を寄せていたのです。

以上が転職への期待や肯定的なイメージです。

次に転職後に起こりうることに対する懸念を紹介します。

  • やり方が通用しない
  • 未知の領域への不安
  • よそ者への風当たり
  • 1年目と同じ扱いを受ける

やり方が通用しないことについて説明します。

看護師さんが不安に感じていたこととして、自分が身につけたスキルは転職先では武器にはならないということです。

環境が違えば求められるスキルや仕事のやり方が違うということです。

未知の領域への不安は、

仕事をする上での基本的な方針はあるけれども、

違う科に行ったら違う看護があるので不安に感じるとのことでした。

よそ者への風当たりは、転職でやってきた人がプライドが高くて謙虚ではなく、

扱いにくいという経験をしたことがあるので、

自分自身は素直に猫を被った方が良いとのことでした。

1年目と同じ扱いを受けることに関しては、

転職先では1年目と同じ扱いを受けることはあらかじめ覚悟しておいた方が良くて、

新人同様の扱いを受けても仕方ないという意見が反映されていました。

以上が転職後に起こりうることに対する懸念です。

イメージ段階における、

転職への期待や肯定的なイメージと転職後に起こりうることに対する懸念

を説明しました。

次に現実段階について説明します。

現実段階には、

予想や期待と相違する現実と予想を超えた現実があります。

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それぞれの項目は次の通りです。

予想や期待と相違する現実

  • 期待通り
  • 期待外れ
  • 懸念通り
  • 懸念以上に辛い現実

予想を超えた現実

  • 業務のギャップ
  • 価値観の違い

ポイントを絞って懸念以上に辛い現実について説明しますと、

これまで身につけてきたスキルや考え方が根底から覆され、

予想以上にスキルが転用できないケースがあるということです。

転職者ということもあり誰にも相談できずに孤独を感じることもあるということでした。

予想を超えた現実では、

事前の予想が当てはまらずに、仕事のやり方や考え方が自分の経験してきたものと全く違うシチュエーションもあるとのことです。

最後に転職における意思決定構造の全体図を載せますね。

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それでは次のチャプターの解説で、

  • ギャップに対する心構え
  • ギャップを予防する手段

を説明します!

解説

まずギャップに対する心構えについて説明します。

結論として、ギャップは存在するものだと割り切る必要があると考えられます。

研究で示されていたとおり、ギャップは少なからず発生してしまいます。

社会人経験があって学生時代よりも現実的な仕事感を持っていながらも、

転職先企業の予測を完璧にすることは難しいです。

その原因には、

  • 情報が限られていること
  • 自分の仕事観で転職先を吟味してしまうこと

が挙げられます。

そもそも転職先の情報が限られていたり、自分自身の経験をもとに

転職先を検討してしまうので、

知らない間にバイアスが入ってしまうからです。

では、ギャップを予防する方法はあるのでしょうか?

転職マネジメントでは以下の方法を推奨します。

転職ギャップへの対処法
  • 転職先に過剰な期待を持たないこと
  • 転職先へすでに転職した方のお話を聞くこと

まずは過剰な期待を持つことを抑制することで、

理想と現実とのギャップを少なくすることができます。

転職先へは希望を持って転職をすることは前提なのですが、

必ずしも理想通りの職場であったり、理想通りの仕事ができるとは

限らないです。

過剰な期待を防ぐには、自己分析をして何を期待して転職するのかを

あらかじめ整理すると良いのかもしれません。

次にできる予防策としては、転職先へすでに転職した方のお話を聞くこと

が挙げられます。

経験者の方に相談することで、転職した際のギャップであったり、

苦労した点も聞けるはずです。

なかなか転職先とのツテがないという方は、転職サービスを活用すると良いと思います。

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【リハのお仕事】

まとめ

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今回は転職にまつわるギャップに関して分析しました。

ギャップが発生してしまうことはしょうがないですが、

ギャップを少なくする対策方法はいくつかあります。

今回紹介した方法を参考にしていただき、

みなさんの転職時のギャップを少なくすることができれば幸いです。

今回はこれで以上となります。

ありがとうございました!

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参考文献

伊東美奈子(2011).中堅看護師が転職前に行う予測と転職後に遭遇する現実との相違の構造.日本看護管理学会誌,15(2),135-146. リンク