スキルあり・なしで転職は不利になる?生え抜き社員と比べると不安大

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みなさんこんにちは!

回の取り上げるテーマは、

スキルあり・なしで転職は不利になる?生え抜き社員と比べると不安大

です。

転職した後に

もともと転職先に在籍している生え抜き社員の方と比べて、

待遇はどうなるのか気になりますよね。

生え抜き社員の方と同程度の昇進スピードや待遇であれば良いですが、

冷遇されてしまったりすると怖いですよね。

将来的な待遇は転職直後には全く分からないので、

なおさら転職に対する不安は高いと思います。

そこで転職した後の待遇に関して一般的な傾向を知っておくと、

非常に安心感があると思いますので今回取り上げました。

加えて研究では待遇の変化において、

転職者がスキルある・ない」という観点も重

要になることが分かりましたので、

スキルあり・なし、と転職後の待遇に関しても解説します。

それでは早速参りましょう!

目次

取り上げる研究の紹介

今回取り上げる研究は2017年に東京大学社会科学研究所から

佐藤香織さんによって執筆された、

「企業内労働市場における転職と昇進の関係」

になります。

研究が載っているリンク先は文末に記載してありますので、

お時間がある方はぜひチェックしてみてください。

佐藤さんの経歴は2020年時点で、

国士舘大学経営学部経営学科講師

になります。

経営学の専門家と言える方ですね。

取り上げる論文は、

比較的最近に執筆され豊富なデータを活用されていますので、

精度の高い論文で信頼できるものになっていると思います。

内容は非常に難しいので、

重要なところを絞って解説していきますね。

それでは内容に入っていきます!

前提知識:用語解説

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日本では新卒一括採用を軸にした長期雇用が一般的な雇用体系ですが、

最近は多様な雇用形態が生まれており、

結果として転職者にも影響を与えています。

多様な雇用形態が生まれた背景には

  • 業務の高度化が進んだこと
  • 働く人々の趣向が変化したこと

といった要因があります。

業務の高度化という側面においては、

企業にとってより高いスキルを持つ人材を育成することが

今までよりも重要になります。

では高いスキルを持つ人材を育成する場合に、

日本式の雇用形態は有効なのでしょうか?

慶應義塾大学の八代充史さんが指摘するには、

日本式の雇用形態は遅い昇進と年功序列にあり、

そのシステムを維持するためには、

移動をすることで昇進確率を高める必要があるとのことです。

したがって高いスキルを持つスペシャリストや技術者を育成するには

日本式の雇用形態は向いていないとのです。

そこで日本企業は新しい雇用形態である職種別採用や、

高度なスキルを持つ人材を外から入手することも

始め出したという経緯があります。

転職を検討している皆さんの中には、

「自分の持っているスキルを生かした転職をしたい」

と考えている人も多いはずです。

スキルを持った方々にとっては、

新しい雇用形態は絶好の転職チャンスと言えるでしょう。

しかし依然として日本では従来の雇用形態が一般的であり、

生え抜き社員の方々を重要視する傾向が高いです。

それは企業特殊的人的資本が原因になります。

企業特殊的人的資本とはその会社でしか通用しないスキルのことで、

例えば会社独自の仕事の進め方などがあります。

生え抜き社員を優遇する環境が日本では一般的な状況下で

高いスキルを持った皆さんが、

転職先でどのような待遇を受けるのか非常に気になるのではないでしょうか?

本記事で取り上げている研究はその疑問に答えうる研究であります。

内容としては転職者をスキルあり・なしで区別して

生え抜き社員と比べた転職者の昇進状況を調査しています。

論文内容は非常に高度ですが、

なるべくシンプルに解説するように努力します!

要チェック単語

管理職:文字通り管理職

管理相当職(管理職相当専門職):管理職と同じくらいの役職の専門職

スキル専門職(技術専門職種):専門的なスキルを持っている専門職

非スキル専門職(非技術専門職種):専門的なスキルを持っていない専門職

生え抜き社員:新卒からずっと一途な社員さんのこと

研究の着眼点

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一般的に企業は従業員が同じレベルのスキルを持つ場合に、

転職者よりも生え抜き社員を昇進で優遇すると考えられています。

生え抜き社員を優遇する主な理由は2つあります。

  • 1つ目の理由:企業特殊的人的資本

企業特殊的人的資本とは、

その企業でしか通用しないスキルのことです。

要するに会社のやり方に慣れているスキルのことです。

意味することとしては、生えぬき社員の方は転職者よりも

会社のやり方に圧倒的に慣れているので、

生産性が高いというお話です。

  • 2つ目の理由:インセンティブ・やる気

転職者を昇進させると生え抜き社員のやる気を失わせてしまうので、

生え抜き社員を優遇するとされています。

以上のことから昇進においては、

転職者よりも生え抜き社員を優遇すると考えられています。

しかし転職者の中には、

生え抜き社員と同程度以上の評価を受けている人がいたりするなど、

転職者の中でも待遇にバラツキがあることを

著者である佐藤さんは指摘しています。

そのバラツキとスキルには関連性があること明らかになっています。

では転職する際にスキルある・なしの違いによって

昇進に具体的にどのような影響があるのでしょうか?

研究結果

研究の中には多くの示唆が導き出されていますが、

今回はその中でも代表的な結果を紹介します。

詳しい調査結果を知りたい方は論文の中身を確認してみてください。

凄いボリュームがありますよ!

結果
  • スキル専門職の転職者は、生え抜き社員と比較すると、小規模企業では不利で、会社規模が大きくなるほど待遇の差が小さくなる
  • 非スキル専門職の転職者は、生え抜き社員と比較すると、会社規模が大きくなるほど待遇が不利になる

スキル専門職に関して読み取れることは、

スキルのある人は大企業では管理相当職につけるルートがあるので、

待遇の差が小さくなってくるとのことです。

管理相当職では高いスキルを使うことを期待されており、

人を管理することをあまり求められておらず、

現場でバリバリ専門的な能力を発揮することが求められているのです。

つまり会社のやり方に優れている必要は相対的に低いので、

スキル専門職転職者と生え抜き社員との

待遇の差は小さくなるということでしょう。

会社規模の視点では、

大企業になるとより専門的な技術を使う場合が多いので、

スキル専門職の方に対する需要も高いのでしょう。

次に非スキル専門職に関して読み取れることを整理します。

非スキル専門職に関して会社規模の視点では、

規模が大きいと管理職を担う生え抜き社員の方が多いので

非スキルで管理職に昇進することは難しいということです。

逆に規模の小さい企業では、

大企業で必要なほどの高度なスキルはあまり必要ではなく、

むしろ管理スキルの方が不足しているのかもしれません。

次にこの研究に対する解説・見解を出します。

解説

研究結果の一部を分かりやすく図示すると

下の図のようになるかと考えます。

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*注意1

ポイント

  • 能力が同程度な場合、転職者よりも生え抜き社員の方が昇進しやすい
  • 専門スキル転職者は会社規模が大きいほど不利でなくなる
  • 非専門スキル転職者は会社規模が小さいほど不利でなくなる

大前提として転職者と生え抜き社員が同程度の能力であれば、

転職者は生え抜き社員よりも昇進がしにくいです。

会社規模の大きさとスキルあり・なしによって、

昇進しやすさが異なることが分かりました。

この結果からは次のことが読み取れました。

  • 転職者が昇進するにはスキルを上げることが重要である
  • 会社規模によって求められるスキルは違うので、自分のスキルが最も評価される規模の会社に転職する

研究結果が示している通り、

転職者は生え抜き社員に比べて昇進では不利なケースが多いです。

ですが、転職者が不利になるケースは能力が同じ程度な場合になっています。

つまり能力やスキルが生え抜き社員よりも高い場合は

転職者がもっと評価されて昇進しやすくなる可能性は十分にあります。

転職してからも自分の能力を高めることが大切なのではないでしょうか?

次に会社規模によって自分のスキルに対する評価が変わってくる

ということです。

あまりにも会社の規模が小さいと過小評価されてしまいますし、

会社の規模が大きすぎると、周りに埋もれてします危険性があります。

したがって転職する際には、

自分のスキルが企業に重宝されるレベルの環境が良いのかもしれません。

まとめ

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以上で今回の記事は終了となります。

とても長い記事になりましたが、

おつきあいしていただいてありがとうございます。

最後に本研究においての注意点をいくつか述べたいと思います。

まずはこの研究は日本企業を対象にしているので、

外資系企業では状況が違うのかもしれません

外資系企業はもともと人材の出入りが激しい企業も多いので、

生え抜きだから有利という企業特殊的人的資本が効かない可能性があります。

次に専門スキル専門職と非専門スキル専門職との区別です。

何を持って専門スキルというのでしょうか?

職種特殊的な技能の比率が影響するらしく、

製造職は非専門スキル、研究開発職は専門スキル、と区別している研究

もありますが、どうも腑に落ちません。

製造職の職人さんの技術はとても高度なスキルだと思います。

この研究でいうところの技術とは、

理工系の技術を生み出す系の技術を指していると考えられますが、

しかし世の中にはものづくりスキルや、マーケティングスキルなどの

技術を使う系の高度なスキルもあります。

ですので、何を持ってスキル専門職か非スキル専門職なのかを

区別することは難しいはずです。

転職マネジメントの解釈としては、

スキル専門職には技術を使う系のスキルも該当するとしますので

研究開発に限らずマーケティングや営業スキルもスキル専門職になり得ます。

要するに尖った高いスキルであれば良いということです。

転職マネジメントでは引き続き、

みなさんのお役に立つ情報を発信していきますので、

よければフォローのほどお願いします!

参考文献

佐藤香織(2017)「企業内労働市場における転職と昇進の関係」リンク

注意1

専門スキル転職者と非専門スキル転職者を転線にした理由は

各点の具体的な動きが読めなかったことにあります。

研究ではだんだん不利になるとあるが、

どのような推移で不利になるのかまでは不明だったので、

推定で点線を引いています。