
転職・就活の面接に不安を感じている人に読んでいただきたいです。本記事では面接における不安を生じさせる心の原因を解説しています。心の原因を理解することによって、面接における精神的不安に対処する一つの方法を学ぶことができます。
みなさんこんにちは!
転職マネジメントにお越しいただきありがとうございます。
今回のテーマは「面接の不安はどこから来る?転職での面接対策における心の問題」です。
人によっては面接なんて全然余裕だよ、と感じる方もいるかもしれませんが、
多くの人にとって面接とは不安なものではないでしょうか。
面接で何を聞かれるのか当日までは分からないですし、何を答えれば正解なのかも分かりませんよね。
面接対策で悩んでいる方はとても多いのではないでしょうか。
面接対策については、転職マネジメントの過去の記事でも言及してありますのでお時間のある方はぜひそちらの記事も参考にして下さい!
今回の記事では、転職・就活における面接での心の問題に着目して解説します。
なぜ転職や就活における面接を不安に感じるのかを構造的に分析し、
面接における不安「心の問題」にどのように対策すれば良いのか、転職マネジメント独自の視点で面接対策を提示します。
心の問題はとらえ所がないですが、問題の構造を理解してしまえば自分を客観視して対策することができます。
今回の記事も転職というシチュエーションで、みなさんのお役に立てるような構成にしてありますのでぜひお付き合い下さい!
では早速はじめましょう!
目次
目次
結論
早速ですが紹介する研究の結論をまとめます。
- 自己卑下呈示規範(じこひげていじきはん)が原因で、面接での自己アピールに対して否定的な感情を抱く
- 企業が求めている人物像と自分自身との不一致によって否定的な感情を抱く
- 内定を獲得している人は自己アピールに対して否定的な感情を抱いていない
否定的な感情を起こす大きな原因として、2つあると読み取ることができます。
自己卑下呈示規範と不一致です。
少し難しい単語(自己卑下呈示規範)が出てきていますので、後ほど解説します。
注目ポイントは、面接を成功させている人は面接において否定的な感情を抱いていないという点です。
つまり、転職・就活での面接を成功させるためには如何に否定的な感情を取り除くことができるのかがポイントになると言えます。
否定的な感情を取り除くためにも、何が原因になっているのかを詳しく解説していきます。
研究の紹介

今回紹介する研究は、広島大学心理学研究より2014年に出稿された、
「就職面接場面における自己高揚呈示が大学生に及ぼすネガティブな影響の検討」になります。
著者は澤成都子先生、森永康子先生です。
本記事執筆時点の森永康子先生の経歴は、
森永康子先生:広島大学大学院人間社会科学研究科教授になっております。
澤成都子先生の経歴を転職マネジメントで調査したところ詳細を掴むことができませんでした。
転職・就活における面接では心理的な要素も成功要因の一つになりますので、
心理学の研究も大変参考になるかと思われます。
一般的な心の傾向を知ることで、自分自身の心を振り返ることができれば良いですよね!
転職・就活でのストレス

2009年の研究によると企業の内定のない大学生はストレスや抑うつ傾向が高いという調査結果が出ています。
特に面接においてストレスを感じている人は多く、集団面接に自信がない人は全体の8割、個別面接に自信がないと答えた人は75%ほどになります。
なぜ面接を苦手と感じる人が多いのでしょうか?
その原因と考えられる自己卑下呈示規範と不一致について解説します。
自己卑下呈示規範(じこひげていじきはん)
まずは自己卑下呈示規範について解説します。
自己卑下呈示規範という単語を分解すると次の通りです。
- 自己卑下:自分はたいしたことのない劣った者だといやしめること
- 呈示:見せること
- 規範:規則
自己卑下呈示は本当の自分よりも低くみせることを意味しており、日本人がよく行う性質です。
研究によると自己卑下呈示は小学校低学年で既に行われており、小学生から大学生にかけて自己卑下呈示をする人が好まれる傾向があるということです。
自己卑下呈示の反対は自己高揚呈示になります。
- 自己高揚呈示:自尊感情を維持し高めようとすること
- 自尊感情:自分自身を肯定的に捉えること
健康的に社会生活を送るためには、自分をある程度肯定的に捉えることが必要であると言われていますが、日本人にとってはあまり得意ではない考え方ともいえます。
例えば自己高揚呈示を日本的に言い換えると、いわゆる見栄を張るという行為を意味します。
総じて日本人の特徴として、自己高揚呈示に対して否定的な感情を持つことが明らかになっています。
日本人が苦手とする自己高揚呈示ですが、転職・就活の面接では自己高揚呈示が求められていることが研究によって明らかになっています。
普段慣れていない自己高揚呈示を面接で実行すると、見栄を張っているような自分と実際の自分のギャップに否定的な感情を抱いてしまい、面接で否定的な感情を呼び起こしてしまうのです。
具体的に転職・就活での面接で行う自己高揚呈示によって生じる感情として、3つあげられます。
- 就職に対する動機付け:採用されるため・良い印象を与えたい
- 自己高揚呈示の正当化:少しだけの誇張・優れているように伝える場所だから・周りもやっているから・採用されるため・良い印象を与えたい
- 本当の自分との不一致:嘘をついている・ばれるかもしれない・そんなに優れていない
自己高揚呈示を正しいと思っていないのにも関わらず、自己高揚呈示をしてしまうことが原因で否定的な感情が生じてしまうのです。
次に理想と現実との不一致について解説します。
理想と現実との不一致
転職・就活の面接では自己卑下呈示が求められています。企業は自分を肯定的に捉えている求職者に良い印象を持つためです。
求職者も面接場面では本当の自分より誇張して自己高揚呈示をすることが示されています。
しかし日本人の特性としては自己卑下呈示を好むため、面接では自己卑下呈示と自己高揚呈示の間で悩まされてしまいます。
就活のケースであると大学生であった今までは、
自己卑下呈示が世間的に好まれていたのに、急に自己高揚呈示を求められることで混乱してしまうことは簡単に予想できますよね。
研究でも理想的な自分と現実の自分との不一致が不快感を及ぼし精神的に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。
企業の価値観に自分を合わせることをやり過ぎてしまい、
企業が求める能力や特性の基準に自分が達していないと感じてしまうと、
理想と現実との不一致が生じて精神的に悪影響を及ぼしてしまうのです。
面接における否定的な感情と精神的健康
面接における自己高揚呈示に対して否定的な感情を抱くほど、精神的健康に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。
企業が求める水準よりも自分の能力が低いとみなすほど、自尊心が低くなり抑うつ傾向が高くなるということです。
原因としては自分自身の自己評価が低いために不一致が生じることも考えられますが、企業が求める能力を過剰に高く認識しているために不一致が大きくなった可能性も考えられます。
転職・就活は自分の将来を前向きに考えて行う活動であるのに、面接という過程で精神的な健康を損ねてしまうのはとても残念なことですよね。
では面接において、精神的な健康を改善し成功に導くためにはどうすれば良いのでしょうか?
次に転職マネジメントが提唱する、転職・就活の面接対策について解説します。
精神的健康を保ちつつ面接を成功に導く方法
精神的健康を保ちながら、就活・転職を成功させる人の特徴をまとめます。
- 志望する企業が求める能力・特性と自分が持ち合わせている能力・特性の不一致が小さい
- 就職面接の自己高揚提示に対する否定的意識が低く、精神的健康が高い
就活・転職を成功させるには大きく2つ要因があることがわかります。
一つ目の要因は、能力・特性のすり合わせです。
企業が求める能力・特性と自分の能力・特性をすり合わせることがポイントになります。
研究では企業が求める能力・特性を高めに評価してしまう傾向があるので、内部の人の話を聞くなどして、会社が求める等身大の能力・特性の水準を知ることが大切です。
能力・特性の不一致が大きいほど、企業に合わせる形で自己高揚呈示の程度も大きくなってしまい精神的な負担になってしまいますので、自分自身の能力・特性の水準を理解することにも努めましょう。
自分で自分自身のことを客観的に分析することは難しいので、友人や家族など身近な人に相談するか、第三者の転職サービスのエージェントに自分自身を分析してもらうと良いですよね。
二つ目の就活・転職を成功させる要因は、自己高揚提示に慣れることです。
自分を肯定的に捉える考え方に慣れることで、転職・就活において精神的健康を保つことが可能になり、面接を成功させることができます。
普段から自分自身にネガティブで、自分自身をポジティブに捉えていない方は、転職・就活における面接で自己高揚呈示の程度が大きくなってしまいます。
つまり必要以上に自分自身を大きく見せてしまうことで、精神的な負担も大きくなってしまっているのです。
精神的な負担を軽減させて面接を成功させるためには、日常的に自分自身を肯定的に捉える習慣を身につけことが大切だと考えられます。
自身を肯定的に捉える習慣は転職・就活という枠を越えて日常生活を豊かに暮らすことにも繋がる習慣になり得るので、ぜひ実践したいですよね。
面接対策という観点だと、面接の経験回数が多いほど自己高揚呈示をよく行い、自己高揚提示に対する否定的な意識が低いという結果も出ていますので、面接の数をこなすことも大切です。
面接の練習として転職エージェントの方とお話しすることは有効的な手法だと考えられます。
まとめ

今回のテーマは「面接の不安はどこから来る?転職での面接対策における心の問題」でした。
記事内容をまとめますと次の通りです。
- 自己卑下呈示規範(じこひげていじきはん)が原因で、面接での自己アピールに対して否定的な感情を抱く
- 企業が求めている人物像と自分自身との不一致によって否定的な感情を抱く
- 能力・特性のすり合わせ
- 自己高揚提示に慣れる
面接を不安に感じている人はとても多いと思います。
転職マネジメントが皆さんに伝えたいことは、面接を必要以上に不安に思わず精神的な健康を保ってほしいという点です。
面接は緊張して当然の関門ではありますが、悩みすぎて自身の良いところを適切に表現できないことはとても残念なことです。
自分自身を肯定的に捉える習慣によって、精神的な不安を軽減し面接でも実力を発揮することができます。
面接というプレッシャーのかかるシチュエーションにおいて、みなさんがポジティブな気持ちで自分の実力を発揮していただければ最高です!
以上で今回の記事は終了となります。
転職マネジメントは転職・キャリア形成における情報を発信していきますので、ぜひチェックしてください!
参考文献
澤成都子・森永康子(2014)「就職面接場面における自己高揚呈示が大学生に及ぼすネガティブな影響の検討」 リンク