職業紹介所の使い分け|民間と公共の違いは?

なかのひと
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職業紹介所について分からないことがある人に読んで欲しいです。民間と公共職業紹介所の違いや、それぞれの役割について説明しています。この記事を読めば、民間と公共職業紹介所の使い分けができるようになると思います。

みなさんこんにちは、転職マネジメントです!

今回のテーマは「職業紹介所の使い分け|民間と公共の違いは?」です。

職業紹介所は大きく分けて民間職業紹介所と公共職業紹介所があります。今回の記事では、民間と公共の紹介所の違いを説明しています。

参考にしている研究は専門性が高いですが、できる限りシンプルにまとめてありますのでぜひ参考にしてください。

それでは早速はじめましょう!

目次

参考研究の結論紹介

ますは参考にする研究の結論を簡単に紹介します。

  • 結論①:公共職業紹介はセーフティーネットの役割を果たしている
  • 結論②:公共職業紹介による転職では産業・職種移動が多く見られる一方で、民間職業紹介による転職では産業・職種移動が多く見られない
  • 結論③:公共職業紹介ほど転職後の給料が下がりやすく、民間職業紹介ほど給料が上がりやすい

民間職業紹介と公共職業紹介には、転職結果に与える影響が違うことが明らかになっています。

結果を見ると民間職業紹介が有利な待遇を引き出せるので、転職では民間職業紹介を利用すれば良いと考えてしまいますが、注意が必要です。

論文の筆者も指摘していますが、民間職業紹介と公共職業紹介ではそれぞれ立ち位置が異なり、それぞれの存在価値があることが分かります。

紹介ネットワークによる転職への影響を見ていきましょう!

研究の紹介

2014年に小林徹先生、阿部正浩先生によって内閣府経済社会総合研究所から執筆された「民営職業紹介、公共職業紹介のマッチングと転職結果」になります。

研究では民間職業紹介と公共職業紹介による転職結果の差について調査しています。

研究で使用されている推定モデルの扱いなどはとても参考になりますので、気になる方はぜひチェックしてください。

職業紹介所の歴史

日本では戦後長らく職業紹介は公共によるものしかなく、民間による職業紹介は原則として禁止されていました。

解禁の兆しが出てきたのは、1997年に職安法施行規則24条の改正によって、有料職業紹介事業の原則自由化や許可制・手数料規制が緩和されたことがきっかけとなります。

1999年には職業安定法自体も改正され、民間が取り扱いことのできる職業範囲についてネガティブリスト(原則として規制がない中で、例外として禁止する制度)が採用されることになりました。

2004年の職業安定改正では、許可・届出手続きの簡素化、県境禁止規則の撤廃が実現しており、事業を行う自由度が高まっています。

職業紹介の歴史を辿ると、法改正を経て民間に職業紹介事業が解放されていったことが分かりますね。

職業紹介所の役割

ここでは民間・公共の両者を通じて職業紹介所に課せられる役割・意義を紹介します。

職業紹介を利用するメリットとして、サーチコストの削減を上げることができます。サーチコストとは、求職者が職業を検索する時にかかるコストです。自分一人で求人を検索することはとても骨の折れる作業になります。

職業紹介が仲介者として求人を取りまとめてくれることで、求職者はサーチコストを削減できるのです。

また、単に検索する手間が省けるだけではなく、検索する求人の良し悪しを仲介所が代わりに判断してくれるというメリットもあります。仲介所には多くの求人情報が集まるので、自然と求人を判断する目を養われるということです。

以上のようなメリットが職業紹介所にはあるので、今日においても民間・公共職業紹介所が存在しているのです。

民間職業紹介と公共職業紹介での転職結果の違い

民間と公共の職業紹介での転職結果について違いが発生していることは、過去の研究の中でも多く言及されています。

その違いを生み出す原因を説明するために、それぞれの職業紹介所の構造を紹介します。

民間職業紹介所の構造

民間職業紹介所は登録型とサーチ型の人材紹介事業と、再就職支援事業などの業態があります。

  • 登録型:あらかじめ求職者に希望条件を提示してもらい、企業のニーズに合わせてマッチングする
  • サーチ型:企業のニーズに合致する人材を幅広く探す
  • 再就職支援:人員整理を進める企業のために、社員の再就職支援を行う

上記の中でも登録型ビジネスが最も一般的な事業形態です。

登録型の人材紹介事業で生まれる利益は、紹介した人材が採用した場合に受け取る成功報酬が大部分となっています。この成功報酬は採用された人材の転職後の年収の3割程度が一般的になっています。

転職者の年収が民間事業者の利益に直結するので、民間事業者は年収の高い人達を対象としてビジネスをするインセンティブが働きます。

公共職業紹介の構造

公共職業紹介は利益を追い求める企業ではないので、仲介料を取ることによるインセンティブはありません。公共職業紹介ではセーフティーネットとしての役割が大きくなっており、対象とする人も転職することが難しく困っている人たちがメインになっています。

民間と公共では求められている役割・インセンティブが全く異なるので、自ずと転職結果が異なっていくことも、理解できますよね。

職業紹介所の違いによる転職効果への影響

それでは研究結果について紹介します。紹介する研究で活用されている手法や論理展開は非常に参考になります。発展的な内容になりますので詳細の解説は省かせていただきますが、専門的な内容を知りたい方はぜひ参考にしてください。

分析データはワーキングパーソン調査を使用しています。

職業紹介所による転職効果の違いを整理します。

民間職業紹介所の効果

  • 民間職業紹介の利用者は、そもそも転職市場で有利とされている人が多い
  • 民間職業紹介では若年層や、前職が大企業・専門職・技術職・管理職である傾向が高く、キャリアアップを見込める求職者が多い
  • 民間職業紹介による転職では産業・職業移動を活性化させている様子はない
  • 民間職業紹介ではより大企業への移動が促進されている
  • 民間職業紹介では転職後の収入を高める影響が確認されている

公共職業紹介所の効果

  • 公共職業紹介を利用して転職した人の多くは転職市場で不利な条件を持っている人が多く、公共職業紹介所がセーフティーネットとしての役割を果たしている
  • 公共職業紹介による転職では産業・職業移動が多くなっている
  • 公共職業紹介ではより小企業への移動が促進されている

以上の結果を踏まえると、民間と公共職業紹介所では異なる強みを持っていることが分かります。どちらかの組織が優れているというわけではなく、相互補完的な関係になっているのです。

転職者や企業は、これらの職業紹介所の違いを理解して使い分ける必要がありますね。次に転職マネジメントが考える、職業紹介所の使い分け方法を説明します。

民間職業紹介と公共職業紹介の使い分け

転職マネジメントが考える民間職業紹介と公共職業紹介の使い分けについて、求職者と企業に分けて説明します。

転職を考えている求職者

転職を考えている場合は、まず民間職業紹介を利用すると良いでしょう。研究結果から、公共職業紹介よりも民間職業紹介を使うことの方が求職者にとってメリットがあることが明らかになっています。

民間職業紹介を活用して更なるキャリアアップを目指すことをオススメします。その際にはこちらの記事にある面接方法などを参考にしていただければ幸いです。

民間職業紹介で上手く転職活動を実行できなかった場合に、公共職業紹介を利用しましょう。公共職業紹介では、職に就くために多様な業界・職種の求人募集があります。公共職業紹介を利用する際には、思い切って新しい分野にも挑戦する意欲が必要になります。

採用活動をしている企業

企業が職業紹介所を使い分けるポイントは金銭的な要素にあります。採用活動に費用をかけられるのであれば、民間職業紹介所を活用して即戦力の人材を採用すると良いでしょう。

採用活動に大企業ほどのコストをかけられない企業は、公共職業紹介所を利用すると良いでしょう。公共職業紹介所では多様な人材を紹介してもらうことができます。即戦力として人材を採用するよりかは、潜在的に企業で活躍できそうなポテンシャルのある人材を見つける時点が大切です。

まとめ

まとめ

民間と公共職業紹介所では異なる強みを持っている

民間職業紹介所の強み:キャリアアップを実現させる機能

公共職業紹介所の強み:セーフティーネットとしての機能

職業紹介所の性質を理解して使い分ける

以上で今回の記事は終了となります。

この記事で  「職業紹介所の使い分け|民間と公共の違いは?」について理解していただくことができたら嬉しく思います。

民間と公共で提供されている機能や期待されている役割が大きく異なることを理解していただけたと思います。

みなさんが転職活動・採用活動をする際には、今回の記事にまとめられている各々の紹介所の特徴を理解した上で、使い分けしていただければと思います。

転職マネジメントでは、転職・キャリアに関する情報をtwitterでも発信していますので、ぜひチェックしてください!

参考文献

小林徹・阿部正浩(2014)「民営職業紹介、公共職業紹介のマッチングと転職結果」『内閣府経済社会総合研究所』リンク